香り高い花びらを、アルコールに漬け込んでおいた。
ふわふわ漂う夢心地な香り。
これをそのまま閉じ込められたなら、どんなにかいいだろう。
漬け込んで3ヶ月ほど。
花びらの色はすっかり褪せて、そのかわり、液がきれいな真紅色に染まっていた。
ふたを開けると、まるで待ってましたと言わんばかりにひろがったあの香り。
そう、あの初夏の日の芳醇な香り!

いつものどくだみ化粧水のかわりに、
今はこのバラエキスを水で割って、化粧水として使っている。
うっとり。目にも美しい色と、あの香り。女の幸せを感じてしまう。
実は昔は、バラなんて大きらいだった。
バラだけじゃなく、リボンも、花柄も、ピンク色も、
「女の子らしいもの」すべてに嫌悪感を抱いていた。
いつごろからだろう。
ピンク色がすきになって、バラの花にうっとりするようになって、
きっと年をとって丸くなってきたのかな。
まあ、今でもめちゃんこガーリーなものよりは、
シャープでクールなものの方がすきには変わりないのだけれど。
香りはおもったほど変質もせず、
こんな風に、びんの中に季節を閉じ込めることができるなんて、
なんて素敵で贅沢なことだろう!
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